金米糖(金平糖)— 『備忘録』より
なぜ金平糖はあのような不規則な角をもって育つのか?対称性と統計的ゆらぎという物理学の根本問題を、お菓子から物質と生命の関係にまで広げていく寺田寅彦の冒険的随筆。
1926〜1989 年。前期は新美南吉・宮沢賢治ら童話の名手、戦後は教育・憲法など現代社会の基礎が形成された。
なぜ金平糖はあのような不規則な角をもって育つのか?対称性と統計的ゆらぎという物理学の根本問題を、お菓子から物質と生命の関係にまで広げていく寺田寅彦の冒険的随筆。
夏の夜の線香花火を、寺田寅彦は「蕾・松葉・柳・散り菊」の四段階の音楽として描く。詩情あふれる観察と「なぜ誰もこれを研究しないのか」という科学者の問いかけ。
「るるり るるり」「ぐぎゃっ」 ―― 草野心平が、カエルの声と心を、ひらがな の おとで えがいた詩。詩は、いみ よりも おと が たいせつ。
「わたしが両手をひろげても、お空はちっとも飛べないけれど、飛べる小鳥はわたしのように、地面 (じべた) を 速くは 走れない」 — 金子みすゞ、26 歳で世を去った童謡詩人の代表作。「みんなちがって、みんないい」の名句で結ばれる。
「ゆあーん ゆよーん ゆやゆよん」— 中原中也のもっとも有名な詩。サーカスのブランコの揺れと、見上げる観客のため息と、近代日本人の哀しみを、擬音語の反復で凝縮した昭和初期の名詩。
「蟻が、蝶の羽をひいて行く、ああ、ヨットのやうだ」── たった 4 行の中に、生と死、小ささと大きさ、地と海の壮大な対比を凝縮した三好達治の代表詩。同詩集から「春の岬」も。
いたずら好きの子狐ごんが、兵十のうなぎを奪ったことをきっかけに、罪悪感から償いをはじめる物語。最後の場面の静かな衝撃が長く心に残ります。
「これは、私が小さいときに、村の茂平というおじいさんから聞いたお話です」── 新美南吉が 18 歳 で 書 い た、 い た ず ら ぎ つ ね ご ん と 兵 十 の 物 語。 す れ ち が い と 後 悔 の、 日本 の 児童 文学 を 代表 す る 名 作。
「藤の実が地に落ちると、ぱちん、ぱちんと、まるで小銃でも撃つやうな音がする」 ── 物理学者・寺田寅彦が、藤の実が一斉に弾ける不思議な現象に出会い、植物の種子散布のメカニズムを科学者の目で観察した随筆。
「ジョバンニはなぜか胸が一杯になって、なんにも云えずに立ってゐました」── 宮 沢 賢 治 が 何 度 も 書 き 直 し、 未 完 の ま ま 残 し た 「銀 河 鉄 道 の 夜」。 孤 独 な 少 年 ジ ョ バ ン ニ と 親 友 カ ム パ ネ ル ラ の、 銀 河 を 走 る 不 思 議 な 夜 の 旅。
「美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳の綾、明暗にある」── 昭和初期、谷崎潤一郎が西洋の電気照明文化を批判し、日本独特の「陰翳の美学」を擁護した名随筆。日本人の美意識の原点を問い直す。
「雪 は 天 か ら 送 ら れ た 手 紙 で あ る」── 中 谷 宇 吉 郎 が、 北 海 道 大 学 の 低 温 実 験 室 で 世 界 で 初 め て 「人 造 雪」 を 作 っ た 物 語。 結 晶 の 形 か ら、 雪 が 降 っ た と き の 上 空 の 状 態 を 読 み 解 く 科 学。
「ど う し て 藤 の 実 が 一 斉 に は じ け 飛 ん だ の か」── 1933 年、 物 理 学 者 ・ 随 筆 家 寺 田 寅 彦 (1878–1935) が ベ ラ ン ダ で 観 察 し た 種 の は じ け 方 を、 中 1 理 科「植 物 の つ く り」 単 元 で 読 む。 chugakurika2 で 既 出 の 寺 田 教 材 と 並 ぶ 同 系 譜 の 一 篇。
「海 辺 の 夕 暮 れ、 風 が ぴ た り と 止 む 一 瞬 が あ る」── 物 理 学 者 ・ 寺 田 寅 彦 が、 海 岸 で 体 験 し た 「夕 凪」 と い う 不 思 議 な 現 象 を、 海 風 と 陸 風 の 切 り 替 わ り で 説 明 す る 名 随 筆。
「冬 の 朝、 庭 を 歩 く と、 ザ ク ッ、 ザ ク ッ と 心 地 よ い 音 が す る」── 中 谷 宇 吉 郎 が、 子 ど も の 頃 か ら 親 し ん だ 霜 柱 と い う 不 思 議 な 現 象 を、 物 理 学 者 の 眼 で 観 察 し 解 明 し た 名 随 筆。
「夢 は い つ も か へ つ て 行 つ た 山 の 麓 の さ び し い 村 に」── 立 原 道 造 が 24 歳 で 早 世 す る わ ず か 2 年 前 に 書 い た、 ソ ネ ッ ト 形 式 の 名 詩。 透 明 な 抒 情 と 14 行 の 完 璧 な 形 式 が、 短 い 命 の 切 な さ を 包 む。
「雪は天から送られた手紙である」— 雪の結晶を人工的に作り出し、上空の気象を読み解く方法を確立した中谷宇吉郎の名著『雪』から、序・本論の核心・附記の三つの抜粋。
「そんなにもあなたはレモンを待つてゐた」— 妻智恵子の最期の床に高村光太郎がそっと差し出した一個のレモン。死と生、悲しみと愛惜が、果物の鮮烈な香りに凝縮した名詩。
「富士には、月見草がよく似合ふ」— 太宰治が結婚直前の数ヶ月を山梨県御坂峠の天下茶屋で過ごした体験を綴った随筆風の中編。富士山という「あまりに直截な美」と、人間の生きにくさが共鳴する。抜粋。
「し た し た し た … 暗 い 闇 を 引 い て 来 る」── 折 口 信 夫 (1887–1953) が、 国 文 学 者・民 俗 学 者 と し て 蓄 え た 知 識 を 文 学 に 結 晶 さ せ た 名 作『死 者 の 書』 (1939)。 大 津 皇 子 の 死 と、 古 代 大 和 の 信 仰・葬 礼 を 描 く 異 色 の 作 品 を、 高 3 国 語 で 探 究 す る。
「日 本 人 の 衣 生 活 が 革 命 的 に 変 わ っ た の は、 木 綿 が 普 及 し た 江 戸 中 期 以 降 で あ る」── 民 俗 学 者 柳 田 國 男 が、 麻 や 葛 (く ず) の 繊 維 で 暮 ら し た 古 代 か ら 中 世 の 日 本 人 の 衣 生 活 を 描 く 名 著。
「メロスは激怒した」— 王の暴政に怒り、友を人質に立てて妹の結婚式に駆けつけ、約束の刻限までに王城へ走り帰る青年メロス。太宰治が古代ギリシアの伝承を借りて描く、人を信じる勇気の物語。本ページは抜粋。
「死 ぬ こ と は 帰 っ て ゆ く こ と で あ る」── 戦 時 下 の 1941 年、 三 木 清 が 書 い た 23 編 の 哲 学 エ ッ セ イ。 死・幸 福・孤 独 ・ 偽 善・嫉 妬 ・ 名 誉 ─ 人 生 の 主 題 に つ い て、 簡 潔 で 深 い 思 索 が 紡 が れ る。
「文 明 開 化 だ! 文 明 開 化 だ!」── ラ ン プ 屋 と し て 成 功 し た 巳 之 助 (み の す け) は、 電 気 が 来 て ラ ン プ が 売 れ な く な っ た 時、 怒 り の 中 で「時 代 を 恨 む の は 間 違 い だ」 と 気 付 き、 池 で 全 て の ラ ン プ を 沈 め て 商 売 を 終 え る。 30 歳 で 早 世 し た 新 美 南 吉 (1913–1943) の 名 作 を 小 4 で 読 む。
唐代の故事「人虎伝」を翻案した中島敦の代表作。詩人を志した李徴がなぜ虎になったのか、虎の口で語られる「臆病な自尊心と尊大な羞恥心」の告白は、高校国語の不動の名作。
「子路は何でもいい、孔子の役に立つことが嬉しかった」── 中島敦が描く孔子の弟子・子路の生涯。荒武者から賢人の弟子へ、そして衛の内乱で壮絶な最期へ。剛直な男の純粋な忠義を、漢文の韻律をもって描く。
「ある日の午後、比叡山中堂で、私は或ることを考えていた」── 戦時下の昭和17年、小林秀雄が比叡山で『一言芳談抄』に遭遇し、書きとめた一篇。「無常」とは何か。歴史と現在、生と死、思い出すことと生きること。
冬のはじめての雪を見た子狐が、町まで手袋を買いに出かけます。母狐の不安、子狐の素直な発見、そして物語の最後に母狐がふともらすつぶやきが、長く心に残ります。
「むかしむかし、丹後の国の水の江というところに浦島という男がいた」── 太宰治が戦争の防空壕で書いた、おなじみの「浦島太郎」の語り直し。古典説話に近代人の眼差しを重ねた、ユーモアと哲学のある名作。
「堕ちよ、堕ちきれ」— 終戦半年後、軍国主義と道徳主義の崩れた日本に、坂口安吾は「人間とは堕落する存在だ。堕ちきった果てに、自分自身を見出すしかない」と書いた。戦後思想の出発点となった評論の冒頭部。
終戦から 9 ヶ月、丸山眞男は『超国家主義の論理と心理』で、日本の天皇制ファシズムを構造分析した。「無責任の体系」「抑圧の移譲」 ―― これら今もよく使われる言葉の起点。
「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し…」— 1947年に施行された日本国憲法の前文。主権在民・基本的人権・平和主義の三大原則を凝縮した、現代日本のスタート地点となる文書。
「朝、 食 堂 で ス ウ プ を 一 さ じ、 す っ と お 母 さ ま が ふ い に、 『あ』 と 幽 (か す) か な 叫 び 声 を お 挙 げ に な っ た」── 太 宰 治 が 戦 後 の 没 落 し ゆ く 華 族 家 庭 を 描 い た 長 編 の 冒 頭。「斜 陽 族」 と い う 言 葉 を 生 ん だ、 戦 後 文 学 の 金 字 塔。
「立春の日には、卵が立つ」── 1947年、新聞や雑誌で大流行した不思議な現象に、物理学者・中谷宇吉郎が冷静な眼で挑んだ名科学随筆。「立つ卵」の正体と、人々が信じやすい「神秘」の心理について。
「雪 は 天 か ら 送 ら れ た 手 紙 で あ る」── 雪 の 結 晶 を 世 界 で 初 め て 人 工 的 に 作 っ た 中 谷 宇 吉 郎 (1900–1962) の 名 言。 戦 後 の 随 筆 集『雪 と 人 生』 で、 自 然 と 人 間 の 関 係 を 深 く 考 察。 本 サ イ ト chugakurika1 で 既 出 の 中 谷『雪』 と 並 ぶ 中 学 理 科 教 材。