道程
小学校 国語 第6学年 C 読むこと 目安 15 分
学習のめあて
- 短い詩の中に込められた、作者の決意と祈りを読み取る
- 詩の各行のリズムと改行の効果を、声に出して感じ取る
- 「父よ」と呼びかける対象が、自然のいずれを指すかを想像する
本文
僕の前に道はない
僕の後ろに道はできる
ああ、自然よ
父よ
僕を一人立ちにさせた広大な父よ
僕から目を離さないで守る事をせよ
常に父の気魄を僕に充たせよ
この遠い道程のため
この遠い道程のため
この詩について
『道程』は、高村光太郎が三十一歳のとき(1914年・大正3年)、長沼智恵子との結婚を翌年に控えて書いた詩です。同名の詩集『道程』の巻頭に置かれ、光太郎の代表作となりました。
もともとは百行を超える長詩でしたが、光太郎自身がこの九行に切り詰めて完成させました。「僕の前に道はない/僕の後ろに道はできる」 という冒頭は、近代日本の自由詩史上もっとも有名な二行のひとつです。
「父よ」と三度くり返される呼びかけは、実の父親ではなく、自分を一人立ちにさせた「自然」、つまり世界そのものへの祈りです。これから歩んでいく長い人生の道のりを支えてほしい、という静かな決意がこめられています。
語句の意味
- 道程(どうてい) 目的地までの道のり。「人生の道のり」の意味も込められている。
- 父よ ここでは「父」は実の父親ではなく、自然・大いなる存在に呼びかけている。光太郎は西洋の宗教で言う「天にいます我らの父」という表現に近い感覚で書いた、と考えられている。
- 守る範囲(まもるはんい) 自分が責任を持って守れる、自分の周りの範囲。
- 高村光太郎(たかむら こうたろう) 1883–1956年。彫刻家、詩人。父は彫刻家の高村光雲。代表詩集に『道程』『智恵子抄』。妻・智恵子との生涯を綴った詩で広く知られる。
考えてみよう
- 「僕の前に道はない/僕の後ろに道はできる」と書かれています。この二行は、どのような生き方を表していると思いますか。
- 詩の中で「父よ」と三回呼びかけられています。あなたはこの「父」を、何だと読みましたか。本文の言葉を引いて答えましょう。
- 「常に父の気魄を僕に充たせよ」の「気魄(きはく)」とは、どのような意味だと思いますか。漢字の形からも想像してみましょう。
- この詩を声に出して読んでみましょう。どの行に最も力が入りましたか。その理由も書きましょう。
- あなたが今、これから歩んでいきたい「道」を、短い詩や言葉にしてみましょう。
指導要領との対応
このページは、文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」国語 第6学年の 以下の指導事項を意識して編集しています。
- C(1)エ — 詩の情景や、人物の心情・性格を、本文を基に具体的に想像する
- 知識・技能(3)エ — 親しみやすい古文や漢文、近代以降の文語調の文章を音読するなどして、言葉の響きやリズムに親しむ
※ 文部科学省告示の本文ではなく、編集者による要旨の言い換えです。 正確な指導事項は文部科学省の公式資料を参照してください。
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