風景(純銀もざいく)
小学校 国語 第6学年 C 読むこと 目安 15 分
学習のめあて
- 「いちめんのなのはな」の反復が、どのように景色を立ち上げているかを感じ取る
- 三連の構成と、最後にだけ加わる「やめるはひるのつき」の効果を考える
- 同じ言葉のくり返しでも、文字の見え方が詩の意味に与える影響を理解する
本文
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
かすかなるむぎぶえ
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
ひばりのおしやべり
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
いちめんのなのはな
やめるはひるのつき
いちめんのなのはな
この詩について
山村暮鳥(やまむら・ぼちょう)の詩集『聖三稜玻璃』(大正4年・1915年) の一篇。副題に「純銀もざいく」とあるように、同じ言葉を敷き詰める手法そのもので、見渡すかぎりの菜の花畑の風景を立ち上げています。
三つの連の真ん中近くにだけ、それぞれちがう一行が紛れ込みます——「かすかなるむぎぶえ」「ひばりのおしゃべり」「やめるはひるのつき」。最初の二つは音、最後は視覚の一点。それだけで、菜の花畑の中に小さな笛の音、鳥の声、青ざめた昼の月——という風景が広がります。
「読む」のと同時に「見る」詩、いわゆる視覚詩(コンクリート・ポエトリー)の日本における先駆的な作品としても知られています。
語句の意味
- 純銀もざいく(じゅんぎん・モザイク) 山村暮鳥が詩集『聖三稜玻璃(せいさんりょうはり)』のなかで、この詩につけた副題。「純銀」は最上等の銀。「もざいく」(モザイク)は、小さな色片を敷き詰めて絵を作る技法。同じ文字を敷き詰めることで、画面そのものを菜の花畑のように見立てている。
- いちめんのなのはな 「一面の菜の花」。地平線まで続く、見渡すかぎりの菜の花畑。
- やめるはひるのつき 「病めるは昼の月」と書ける。明るい昼の空にぼんやり浮かぶ、青ざめた月のこと。「病めるは」=「病んでいるのは」。
- かすかなるむぎぶえ 「微かなる麦笛」。麦の茎で作った笛(むぎぶえ)の、かすかな音。
- ひばりのおしやべり 春の空高くに鳴くひばりの、鈴を転がすような連続した声。
- 山村暮鳥(やまむら ぼちょう) 1884–1924年。詩人、児童文学者。本名は土田八九十(はくじゅう)。前衛的な詩集『聖三稜玻璃』(1915) で衝撃を与え、後年は『雲』(1925) のような素朴で穏やかな詩風に転じた。
考えてみよう
- この詩は、ほとんど同じ言葉「いちめんのなのはな」が繰り返されています。何回くりかえされていますか。声に出して数えてみましょう。
- 三連目の最後にだけ「やめるはひるのつき」という別の一行があります。この一行は、見渡すかぎりの菜の花畑の景色に何を加えていますか。
- 詩を読むのではなく、目で「眺めて」みましょう。文字が並ぶ様子から、どんな景色が立ち上がってきますか。
- 「いちめんのなのはな」のように、同じ言葉をくり返すことで、ある景色や気持ちを表す詩を、自分でも作ってみましょう。
- 山村暮鳥は、なぜこの詩に「純銀もざいく」という副題をつけたのだと思いますか。
指導要領との対応
このページは、文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)」国語 第6学年の 以下の指導事項を意識して編集しています。
- C(1)エ — 詩の情景を、本文を基に具体的に想像する
- 知識・技能(1)ク — 視覚的な配置や繰り返しの効果を理解する
※ 文部科学省告示の本文ではなく、編集者による要旨の言い換えです。 正確な指導事項は文部科学省の公式資料を参照してください。