冬が来た
小学校 国語 第6学年 詩・歌近代詩B 読むこと 目安 12 分
学習のめあて
- 高村光太郎の力強い口語自由詩を音読する
- 「きっぱり」「凛々と」など、決断の言葉のリズムを体感する
- 季節 (冬) を「歓迎する」という、近代詩独自の精神を読み取る
本文
冬が来た (高村光太郎)
きつぱりと冬が来た
八ツ手の白い花も消え
公孫樹の木も箒になつたきりきりともみ込むやうな冬が来た
人にいやがられる冬
草木に背かれ、虫類に逃げられる冬が来た冬よ
僕に来い、僕に来い
僕は冬の力、冬は僕の餌食だしみ透れ、つきぬけ
火事をおこせ、雪でうづめろ
刃物のやうな冬が来た
現代語訳・要点
迷うことなく、はっきりと冬がやってきた。八手の白い花も消え、いちょうの木も葉を落として箒のようになった。
きりきりと、もみ込むような冬がやってきた。人にきらわれる冬。草や木に背かれ、虫たちにも逃げられる冬がやってきた。
冬よ、僕に来い、僕に来い。
僕は冬の力だ。冬は僕の獲物(えじき)だ。
浸み透れ、突き抜け、火事を起こせ、雪で埋めろ ―― 刃物のような冬がやってきた。
解説:「冬を歓迎する」 という新しさ
この詩を読むと、ふつう「冬は寒くて嫌だ」と感じるはずの冬を、高村光太郎は 歓迎 しています。 それも、「冬よ僕に来い」「僕は冬の力だ」と、まるで 自分の身体に冬を取り込もう としているかのようです。
1913 年 (大正 2 年)、高村光太郎は 29 歳。フランス・アメリカ留学から帰り、彫刻と詩の両方の道を進んでいた時期です。 若き芸術家として、自分の中に「強さ」を求めていた光太郎にとって、冬の厳しさは 「自分を鍛えてくれる力」 として 受け止められたのでしょう。
口語自由詩の力
当時、まだ和歌や短歌のような 定型詩 (五七五七七 など) が主流でしたが、高村光太郎は 口語自由詩 (話し言葉で、字数の決まりがない詩) を確立した一人でした。
「きっぱりと冬が来た」 「冬よ/僕に来い」 ―― この力強い、決断的な口語のリズムは、近代日本詩の出発点に位置づけられます。
語句の意味
各見出し語をクリックすると、外部辞書で詳しい意味を調べられます。 ※ Wiktionary について
考えてみよう
- 声に出して、ゆっくり 5 回読んでみましょう。「きっぱり」「凛々と」の音のリズムを感じてください。
- 「冬よ/僕に来い」 — 高村光太郎は、なぜ冬を「歓迎」したのでしょうか。「冬は寒くて嫌だ」と言わないのは、なぜでしょう。
- この詩のなかで、冬を表す「もの」が 4 つあります。見つけてみましょう。(ヒント: 木の葉、空、空気…)
- 「公孫樹」「八ツ手」「刃物のような風」 ―— なぜこのような硬く・鋭い ものを、冬の比喩に選んだのでしょう。
- あなた自身の「冬への気持ち」と、高村光太郎の気持ちは、どこが似ていて、どこが違いますか。
指導案 教員向け・授業展開の例
小6 国語の近代詩教材。「冬を歓迎する」という斬新な視点と、 力強い口語自由詩のリズムを学ぶ。
指導目標
- 詩を音読してリズムを体感する
- 「冬を歓迎する」という珍しい視点に気づく
- 季節の比喩としての「もの」を見つけられる
授業の流れ
- 5分 「冬と聞いて思い浮かぶもの」を全員で出し合う
- 10分 詩を音読 (一人ずつ、グループ、全員)
- 15分 「冬を表すもの」を本文から見つけてリスト化
- 10分 「冬よ僕に来い」の気持ちについて議論
- 5分 振り返り、自分なら「冬よ」と続けてどう書くかメモ
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