聖アウグスティヌス『告白』第八巻「庭園の回心」抜粋
高等学校 西洋古典 第1学年 古典 西洋古典古代末期キリスト教自伝文学 目安 30 分 JLPT N1 漢字 第9学年 語彙 上級 難易度 ★★★★☆
学習のめあて
- 西 洋 自 伝 文 学 の 祖 と さ れ る『告 白』 を 知 る
- キ リ ス ト 教 神 学 の 礎 を 築 い た 思 想 家 ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス に 触 れ る
- 「回 心 (か い し ん)」 と い う 宗 教 的 経 験 を 理 解 す る
- 古 代 末 期 ロ ー マ 帝 国 の 思 想 状 況 を 知 る
本文
本 文 (試 訳)
『告 白』 第 八 巻 第 十 二 章 「庭 園 の 回 心」
私 は、 友 ア リ ピ ウ ス と と も に ミ ラ ノ の 家 の 庭 園 に い た。 自 分 の 過 去 の 罪 と、 そ れ で も キ リ ス ト 教 に 完 全 に 帰 依 で き な い 自 分 の 弱 さ を、 苦 し み 嘆 い て い た。
深 い 涙 が 流 れ た。 私 は 涙 を 友 に 隠 す た め に、 ア リ ピ ウ ス の 元 か ら 離 れ、 庭 園 の 奥 に あ る い ち じ く の 木 の 下 に 身 を 投 げ た。
そ し て、 涙 な が ら に 神 に 訴 え た:
「主 よ、 い つ ま で で す か。 い つ ま で 私 の 不 信 を 引 き 延 ば さ れ る の で す か。 ど う か、 こ の 心 を 完 全 に 変 え て く だ さ い。 ど う か、 今 こ の 時 に」 と。こ の よ う に 嘆 き、 涙 を 流 し て い た 時 ─ 突 然、 隣 家 か ら 子 ど も の 歌 声 の よ う な も の が 聞 こ え た。
そ の 声 は、 こ う 繰 り 返 し て い た:「ト レ・レ ゲ、 ト レ・レ ゲ」 (Tolle, lege; tolle, lege)
─ 「取 れ、 読 め。 取 れ、 読 め」 ─私 は 突 然 涙 を 止 め、 立 ち 上 が っ た。
こ の 声 が 子 ど も た ち の 遊 び 歌 か ど う か は、 思 い 出 せ な か っ た。 だ が、 何 か の 神 託 の よ う に 思 え た。私 は 急 い で ア リ ピ ウ ス が 座 っ て い た 場 所 に 戻 っ た。 そ こ に は、 私 が 読 ん で い た 「使 徒 パ ウ ロ の 書 簡 集」 が 開 か れ て 置 か れ て い た。
私 は、 そ の 書 物 を 取 り 上 げ、 開 き、 最 初 に 目 に 入 っ た 箇 所 を 読 ん だ。
そ こ に は こ う 書 か れ て い た ─「酒 宴 や 酔 い と か、 不 道 徳 や 放 縦 と か、 争 い と 妬 み と か、 そ う い う こ と か ら 離 れ て、 主 イ エ ス ・ キ リ ス ト を 着 な さ い。 肉 の 欲 望 を 満 た す た め に、 思 い を 巡 ら す こ と を し て は な ら な い」
─ (ロ ー マ の 信 徒 へ の 手 紙 13 章 13–14 節)こ れ 以 上、 読 む 必 要 は な か っ た。 こ の 言 葉 を 読 ん だ 瞬 間 ─ 突 然、 私 の 心 か ら 一 切 の 疑 い の 闇 が 取 り 払 わ れ た。
私 の 罪 へ の 執 着 が、 一 気 に 消 え 去 っ た。 そ し て、 私 の 全 存 在 が、 神 の 光 で 満 た さ れ る の を 感 じ た。私 は 書 物 を 閉 じ、 指 で そ の 箇 所 を 押 さ え た ま ま、 ア リ ピ ウ ス に 語 っ た。
ア リ ピ ウ ス も ま た、 自 ら 書 物 を 取 り 上 げ、 私 が 読 ん だ 箇 所 の 後 を 読 み、 そ の 場 で 私 と と も に 信 仰 を 受 け 入 れ た。そ し て 私 た ち は、 家 に 戻 っ て 母 モ ニ カ に 全 て を 話 し た。
モ ニ カ は、 私 の た め に 三 十 年 以 上 涙 を 流 し て 祈 り 続 け て き た の だ っ た。 こ の 知 ら せ を 聞 い た 母 は、 喜 び に あ ふ れ、 神 を 讃 美 し た。こ う し て、 386 年 8 月 ─ 私 は、 32 歳 で キ リ ス ト 教 に 完 全 に 回 心 し た の で あ る。
そ し て こ れ こ そ が、 私 の 人 生 の 真 の 始 ま り で あ っ た。
解 説 ─ 32 歳 の 回 心
ア ウ レ リ ウ ス ・ ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス (354–430) は、 古 代 末 期 の キ リ ス ト 教 思 想 を 確 立 し、 後 の 西 洋 中 世 神 学 ・ 哲 学 の 礎 を 築 い た 巨 人 で あ る。
彼 の 生 涯 は、 二 つ に 分 け ら れ る:
- 32 歳 ま で ─ マ ニ 教 ・ 占 星 術 ・ 新 プ ラ ト ン 主 義 を 学 び、 修 辞 学 の 教 授 と し て 名 声 を 求 め た 知 的 探 求 の 時 期
- 32 歳 以 降 ─ キ リ ス ト 教 に 回 心 し、 司 教 と し て 神 学 著 作 を 残 し た 時 期
こ の 二 つ を 分 け る 決 定 的 瞬 間 が、 386 年 8 月 の 「庭 園 の 回 心」 で あ っ た。
「取 れ、 読 め」 (Tolle, lege)
回 心 の 直 接 の き っ か け と な っ た の は、 庭 園 で 聞 こ え た 「Tolle, lege」 (ト レ、 レ ゲ) と い う 声。
ラ テ ン 語 で「取 れ、 読 め」 の 意。
こ の 声 が、 本 当 に 子 ど も た ち の 遊 び 歌 だ っ た か、 あ る い は 神 か ら の 啓 示 だ っ た か ─ ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス 自 身 は 「私 に は 思 い 出 せ な い」 と 書 い て い る。
だ が、 何 で あ れ、 こ の 声 が ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス を 動 か し、 聖 書 を 開 か せ、 そ し て あ の 「ロ ー マ 書 13 章 13–14 節」 を 読 ま せ た。
そ の 一 節 を 読 ん だ 瞬 間 ─ 「私 の 全 存 在 が、 神 の 光 で 満 た さ れ た」 と 彼 は 書 く。
こ れ こ そ が、 西 洋 文 学 史 で 最 も 有 名 な 「回 心 (か い し ん)」 の 瞬 間 で あ る。
母 モ ニ カ の 30 年 の 祈 り
ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス の 母 モ ニ カ (332–387) は、 敬 虔 な キ リ ス ト 教 徒 だ っ た。
だ が 父 パ ト リ キ ウ ス は 非 キ リ ス ト 教 徒。 ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス 自 身 も 若 い 頃 は キ リ ス ト 教 か ら 離 れ て い た。
モ ニ カ は、 息 子 の キ リ ス ト 教 へ の 回 心 を、 30 年 以 上 に わ た っ て 涙 で 祈 り 続 け た と 伝 え ら れ る。
そ し て、 386 年 の 庭 園 の 回 心 の 翌 年 1387 年、 モ ニ カ は 「私 の 祈 り は す べ て 叶 え ら れ た」 と 言 い 残 し、 オ ス テ ィ ア で 没 し た。
モ ニ カ は 後 に 聖 人 と さ れ、 ア メ リ カ ・ カ リ フ ォ ル ニ ア 州 の 都 市 サ ン タ ・ モ ニ カ (Santa Monica) の 名 前 の 由 来 と な っ た。
『告 白』 と い う 自 伝 文 学
ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス は、 回 心 か ら 約 10 年 後、 397–400 年 頃 に『告 白』(Confessiones) を 書 い た。
全 13 巻 の 自 伝 的 著 作 で あ る。
こ の『告 白』 の 革 命 性 は、 「自 分 の 過 去 の 罪 と 内 面 を 詳 細 に 神 に 告 白 す る」 と い う 形 式 に あ っ た。
- 幼 児 期 の 嫉 妬
- 少 年 時 代 の 盗 み
- 青 年 期 の 性 的 放 縦
- マ ニ 教 へ の 傾 倒
- そ し て 回 心 へ の 長 い 苦 闘
こ れ ら 全 て を、 ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス は 包 み 隠 さ ず 書 い た。
そ の 上 で、 「そ れ で も 神 は 私 を 救 っ て く だ さ っ た」 と 結 ぶ。
こ の 「自 分 を 赤 裸 々 に 語 る」 形 式 は、 西 洋 自 伝 文 学 の 出 発 点 と な っ た。
後 世 へ の 影 響 ─ ル ソ ー『告 白』 ま で
ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス『告 白』 の 後 ─ 1400 年 を 経 て、 同 じ タ イ ト ル の 名 著 が 書 か れ た。
ジ ャ ン ・ ジ ャ ッ ク ・ ル ソ ー『告 白』 (Les Confessions, 1782 出 版)。
ル ソ ー は こ の 著 作 の 序 で、 ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス『告 白』 を 意 識 し て こ う 書 い た:「私 は、 一 度 も 試 み ら れ た こ と の な い、 未 来 永 劫 模 倣 す る 人 も い な い だ ろ う 一 つ の 仕 事 を 企 て る」 と。
ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス → ル ソ ー → ト ル ス ト イ → 現 代 の 自 伝 文 学 ─ そ の 出 発 点 が、 1600 年 前 の 「庭 園 の 回 心」 だ っ た の で あ る。
古 代 末 期 と い う 時 代
ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス が 生 き た 4–5 世 紀 は、 古 代 末 期 ─ ロ ー マ 帝 国 が 衰 退 し、 中 世 へ と 移 行 す る 時 代。
- 313 年 ─ コ ン ス タ ン テ ィ ヌ ス 大 帝 の ミ ラ ノ 勅 令 (キ リ ス ト 教 公 認)
- 325 年 ─ ニ カ イ ア 公 会 議 (キ リ ス ト 教 神 学 の 確 立)
- 354 ─ ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス 生 ま れ る
- 380 年 ─ テ オ ド シ ウ ス 帝、 キ リ ス ト 教 を ロ ー マ 国 教 化
- 386 ─ 庭 園 の 回 心
- 397–400 ─ 『告 白』執 筆
- 410 ─ 西 ゴ ー ト 族 が ロ ー マ を 略 奪 (古 代 ロ ー マ の 終 焉 を 象 徴)
- 413–426 ─ ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス『神 の 国』執 筆
- 430 ─ ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス 没。 そ の 直 後、 ヒ ッ ポ が ヴ ァ ン ダ ル 族 に 攻 撃 さ れ る
ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス の 生 涯 は、 古 代 ロ ー マ 文 明 の 最 後 の 輝 き と、 中 世 キ リ ス ト 教 ヨ ー ロ ッ パ の 出 発 が、 重 な り 合 う 時 代 で あ っ た。
四 者 の 系 譜 ─ 西 洋 古 典 の 柱
本 サ イ ト koteoyaku1 で 紹 介 し て き た 西 洋 古 典 の 四 巨 人:
| 思 想 家 | 時 代 | テ ク ス ト | 主 題 |
|---|---|---|---|
| プ ラ ト ン | 紀 元 前 4 世 紀 | 『国 家』(洞 窟 の 比 喩) | 真 理 の 探 究 |
| マ ル ク ス ・ ア ウ レ リ ウ ス | 2 世 紀 | 『自 省 録』 | 自 己 の 修 練 |
| 使 徒 パ ウ ロ | 1 世 紀 | 『コ リ ン ト 前 書』13 章 | 愛 (ア ガ ペ ー) |
| ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス | 4–5 世 紀 | 『告 白』 | 回 心 と 自 己 探 究 |
こ の 四 者 が、 西 洋 古 典 思 想 の 四 つ の 柱 で あ る。
そ し て ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス は、 古 代 思 想 (プ ラ ト ン・ス ト ア 派) と キ リ ス ト 教 を 統 合 し て、 中 世 ヨ ー ロ ッ パ の 神 学 ・ 哲 学 の 礎 を 据 え た。
1640 年 後 の 私 た ち へ
386 年 8 月、 ミ ラ ノ の 庭 園 で 響 い た 子 ど も の 声 「Tolle, lege」 ─ そ れ か ら 1640 年。
私 た ち も ま た、 人 生 の あ る 瞬 間 に、 思 い が け な い 声 を 聞 く こ と が あ る か も し れ な い。
SNS の 通 知 音、 友 人 か ら の 言 葉、 偶 然 手 に 取 っ た 本 の 一 節 ─ そ ん な 小 さ な 声 が、 君 の 人 生 を 変 え る き っ か け に な る こ と も あ る。
「取 れ、 読 め」 ─ ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス が 残 し て く れ た こ の 二 語 は、 ど ん な 時 代 の ど ん な 君 の 心 に も、 響 き 続 け る で あ ろ う。
語句の意味
各見出し語をクリックすると、外部辞書で詳しい意味を調べられます。 ※ Wiktionary について
- ア ウ レ リ ウ ス・ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス (Aurelius Augustinus) K 354–430。 北 ア フ リ カ ・ タ ガ ス テ (現 在 の ア ル ジ ェ リ ア) 生 ま れ。 古 代 末 期 の キ リ ス ト 教 教 父。 母 モ ニ カ は 敬 虔 な キ リ ス ト 教 徒、 父 パ ト リ キ ウ ス は 非 キ リ ス ト 教 徒。 若 い 時 は マ ニ 教 や 新 プ ラ ト ン 主 義 を 学 ん だ が、 32 歳 で キ リ ス ト 教 に 回 心。 後 に ヒ ッ ポ (現 在 の ア ル ジ ェ リ ア・ア ン ナ バ) の 司 教。 『告 白』『神 の 国』 な ど 多 数 の 著 作 を 残 し、 西 洋 中 世 神 学 ・ 哲 学 の 礎 を 築 い た。
- 告 白 (こ く は く ・ Confessiones) K ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス が 397–400 年 頃 に 書 い た 自 伝 的 著 作。 全 13 巻。 自 ら の 罪 と 神 へ の 賛 美 を 神 に 「告 白」 す る 形 式。 西 洋 自 伝 文 学 の 祖 と さ れ る。 ル ソ ー『告 白』(1782)、 ト ル ス ト イ『懺 悔』(1882) な ど、 後 世 の 自 伝 文 学 に 巨 大 な 影 響 を 与 え た。
- 回 心 (か い し ん ・ conversio) K 心 が 根 本 的 に 向 き 変 え ら れ る こ と。 通 常 は 宗 教 的 ・ 思 想 的 な 転 換 を 指 す。 ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス は 386 年、 32 歳 の 時、 ミ ラ ノ の 庭 園 で キ リ ス ト 教 に 回 心 し た。
- ミ ラ ノ K 古 代 ロ ー マ 帝 国 の 都 市。 当 時、 西 ロ ー マ 帝 国 の 首 都 級 都 市 の 一 つ。 ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス は ミ ラ ノ で 修 辞 学 の 教 授 を 務 め、 名 司 教 ア ン ブ ロ シ ウ ス の 説 教 を 聞 い て、 キ リ ス ト 教 に 接 近 し た。
- 「取 れ、 読 め」 (Tolle, lege) K 庭 園 で ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス が 聞 い た、 子 ど も の 声 (と さ れ る)。 ラ テ ン 語 で 「Tolle, lege」 (ト レ・レ ゲ)。 こ の 声 に 従 っ て 聖 書 を 開 い た こ と が、 回 心 の 直 接 の き っ か け と な っ た。
- 新 約 聖 書 ロ ー マ 書 13 章 13–14 節 K ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス が 庭 園 で 開 い た 聖 書 の 箇 所。「夜 が 更 け て、 日 が 近 づ い て い る。 だ か ら、 闇 の 業 を 脱 ぎ 捨 て、 光 の 武 具 を 身 に つ け よ う」 と い う 句。 こ の 句 を 読 ん だ 瞬 間、 ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス は キ リ ス ト 教 に 完 全 に 回 心 し た と さ れ る。
- モ ニ カ (Monica) K ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス の 母 (332–387)。 敬 虔 な キ リ ス ト 教 徒 で、 息 子 の 回 心 を 30 年 以 上 祈 り 続 け た と 伝 え ら れ る。 ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス の 回 心 の 翌 年 (387) に 没。 後 に 聖 人 に。 ア メ リ カ・カ リ フ ォ ル ニ ア 州 サ ン タ・モ ニ カ 市 の 名 前 の 由 来。
- 古 代 末 期 (こ だ い ま っ き) K 紀 元 3–5 世 紀 頃、 古 代 ロ ー マ 帝 国 が 衰 退 し、 中 世 へ 移 行 す る 時 期。 キ リ ス ト 教 が 公 認・国 教 化 し、 古 典 古 代 の 思 想 と キ リ ス ト 教 が 融 合 し て い っ た 時 代。 ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス は そ の 中 心 人 物。
- 新 プ ラ ト ン 主 義 (し ん プ ラ ト ン し ゅ ぎ) K 3–6 世 紀 に 流 行 し た プ ラ ト ン 哲 学 の 後 継 派。 プ ロ テ ィ ノ ス (205–270) が 始 め た。 ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス は こ れ を 学 び、 後 に キ リ ス ト 教 神 学 に 取 り 入 れ た。
考えてみよう
- ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス が 庭 園 で 聞 い た 「取 れ、 読 め (Tolle, lege)」 と い う 声 は、 本 当 に 子 ど も の 声 だ っ た の で し ょ う か。 ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス 自 身 の 解 釈 を 確 認 し ま し ょ う。
- 「回 心 (か い し ん)」 と は ど ん な 経 験 で し ょ う か。 宗 教 的 な 回 心 と、 思 想 的 な 回 心 (例 ─ 思 想 的 立 場 が 一 変 す る こ と) の 違 い は?
- ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス は『告 白』 で、 自 ら の 過 ち と 罪 を 詳 細 に 書 き 残 し ま し た。 こ の よ う に 「自 分 の 弱 さ を 公 に す る」 自 伝 文 学 の 意 味 は 何 で し ょ う か?
- プ ラ ト ン (本 サ イ ト koteoyaku1) や マ ル ク ス ・ ア ウ レ リ ウ ス (本 サ イ ト koteoyaku1)、 そ し て ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス ─ こ の 三 人 の 思 想 の 違 い と 共 通 点 を 整 理 し ま し ょ う。
- ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス の 「庭 園 の 回 心」 は、 後 の 西 洋 文 学 (ル ソ ー『告 白』・ト ル ス ト イ『懺 悔』) に 大 き な 影 響 を 与 え ま し た。 「自 分 を 語 る」 こ と の 意 味 を、 1600 年 前 と 現 代 と で 比 べ て み ま し ょ う。
指導要領との対応
このページは、文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」西洋古典 第1学年の 以下の指導事項を意識して編集しています。
- 古典探究 — 古 典 作 品 を 通 し て、 人 間 や 信 仰 に 対 す る 考 え を 深 め る
- 倫理 — 世 界 の 宗 教・思 想 の 古 典 を 学 ぶ
※ 文部科学省告示の本文ではなく、編集者による要旨の言い換えです。 正確な指導事項は文部科学省の公式資料を参照してください。
指導案 教員向け・授業展開の例
高1 西 洋 古 典 で、 プ ラ ト ン (洞 窟 の 比 喩)・マ ル ク ス・ア ウ レ リ ウ ス (自 省 録)・パ ウ ロ (コ リ ン ト 前 書 13 章) に 続 く、 古 代 末 期 の 名 著 を 読 む。 西 洋 自 伝 文 学 の 祖 と し て の『告 白』 の 位 置 を 体 感 す る。 「回 心」 と い う 普 遍 的 な 人 間 経 験 を、 1600 年 前 の 声 で 体 験 す る。
指導目標
- ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス を 知 る
- 「告 白」 と い う 文 学 ジ ャ ン ル を 理 解 す る
- 「回 心 (か い し ん)」 概 念 を 把 握 す る
- 古 代 末 期 ロ ー マ 帝 国 の 思 想 状 況 を 知 る
授業の流れ
- 1時限・10分 古 代 末 期 (4 世 紀 後 半) の 状 況 を 確 認
- 1時限・25分 「庭 園 の 回 心」 場 面 を 通 読
- 1時限・15分 母 モ ニ カ と の 関 係 を 解 説
- 2時限・20分 後 の 西 洋 自 伝 文 学 (ル ソ ー・ト ル ス ト イ) と 比 較
- 2時限・20分 プ ラ ト ン・ア ウ レ リ ウ ス・パ ウ ロ・ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス の 四 者 の 系 譜
- 2時限・10分 自 分 の 「小 さ な 回 心」 を 短 文 で
発問例・議論のポイント
- 宗 教 的 回 心 と 思 想 的 転 換 は ど う 違 う か?
- 「自 分 を 語 る」 こ と の 西 洋 と 東 洋 の 違 い
- 現 代 で 「回 心」 に 相 当 す る 経 験 は あ る か?
発展課題
- ア ウ グ ス テ ィ ヌ ス『神 の 国』 を 学 ぶ
- ル ソ ー『告 白』 を 読 む
- 仏 教 の 「悟 り」 と の 比 較
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出典・ライセンス
- 原文: アウレリウス・アウグスティヌス (Aurelius Augustinus)「聖アウグスティヌス『告白』第八巻「庭園の回心」抜粋」(397年)
- 入力テキスト: 翻訳は本サイト編集部による教育目的の試訳。原典 は ラテン語 (Confessiones)。 (底本:アウグスティヌス『告白』(Confessiones、397–400 年 執 筆)。 全 13 巻 の キ リ ス ト 教 古 典。 西 洋 自 伝 文 学 の 祖。 本 教 材 は 第 8 巻 第 12 章 「庭 園 の 回 心 (て い え ん の か い し ん)」 を 抜 粋。)
- 原文の権利: パブリックドメイン
- 編集・語注・発問・解説: CC BY 4.0 © project_procopios contributors