からたちの花
小学校 国語 第2学年 詩・歌B 読むこと 目安 10 分
学習のめあて
- 北原白秋の代表的な童謡を原詩で読む
- 「やさしさ」と「痛み」が一つの花に重なる詩の構造を体感する
- 自分の「みんな みんな やさしかったよ」と思える記憶を呼び起こす
本文
からたちの花 (北原白秋)
からたちの花が咲いたよ。
白い白い花が咲いたよ。からたちのとげはいたいよ。
靑い靑い針のとげだよ。からたちは畑の垣根よ。
いつもいつもとおる道だよ。からたちも秋はみのるよ。
まろいまろい金のたまだよ。からたちのそばで泣いたよ。
みんなみんなやさしかったよ。からたちの花が咲いたよ。
白い白い花が咲いたよ。
げんだいご に なおすと
からたち の 花 が 咲いた よ。白い、白い 花 が 咲いた よ。
からたち の とげ は 痛い よ。青い、青い 針 (はり) のような とげ だ よ。
からたち は、畑 の まわり の かきね に なっている 木 だ よ。わたし が いつも 通る 道 に 生えている よ。
からたち も、秋 に なると、実 (み) が なる よ。まるい、まるい、金色 の たま (球) のような 実 だ よ。
わたし は、からたち の 木 の そば で、泣いた こと が あった。あの とき、まわりの 人 たち は、みんな、みんな、わたし に やさしくして くれた よ。
ほら、また、からたち の 花 が 咲いた よ。白い、白い 花 が、咲いた よ。
北原白秋 の こころ
北原白秋 (きたはら はくしゅう) は、ふくおか県 やながわ の 大きな 酒屋 の むすこ として 生まれました。
若い とき から 詩 を 書き、20 さい の とき に 上京 して、与謝野鉄幹 (よさの てっかん)・晶子 (あきこ) の 「明星派」 で 活躍 しました。
しかし、白秋 の 生活 は 必ずしも 幸せ では ありませんでした。
家業 が 倒産 し、結婚 も うまくいかず、警察 に 拘束 (こうそく) されたこと も ありました。
そんな 苦い 経験 が、彼 の 詩 に は しずか に 影 を 落として います。
「からたちの花」 は、白秋 が 少年 の ころ、ふるさと の 道 で よく 見た からたち の 垣根 を 思い出して 書いた 詩 です。
- 白い 花 ── 子ども 時代 の 美しい 思い出 (やさしさ)
- 青い 棘 ── 子ども 時代 に 経験 した 痛み や 悲しさ
- 金 の たま (実) ── 季節 が 巡って、美しい もの が また 実る こと
- 「みんな みんな やさしかった」 ── すべて を 振り返って、それでも 「やさしさ」 を 見いだす こころ
小さな からたち の 花 に、白秋 は 「やさしさ」と「痛み」を 同時 に 抱えて 生きる 人 の 姿 を 見ました。
そして、最後 は ── 「みんな、やさしかった」 と、すべて を ゆるす ような こころ で、この 詩 を 結んだ の です。
歌 と なって
この 詩 は、1924 年 (大正 13 年) に 雑誌 『赤い鳥 (あかいとり)』 で 発表 されました。
そして、翌年 1925 年 (大正 14 年)、作曲家 の 山田耕筰 (やまだ こうさく) が、しずか で 美しい メロディー を つけました。
白秋 と 耕筰 の コンビ は、「赤とんぼ」 「待ちぼうけ」 「この道」 など、たくさん の 童謡 を 生み 出しました。
百年 ちかく まえ の この 歌 を、いま、あなた も 歌って みて ください。
白い 花 と、青い 棘 が、こころ の 中 に やさしく 浮かび 上がって くる でしょう。
語句の意味
各見出し語をクリックすると、外部辞書で詳しい意味を調べられます。 ※ Wiktionary について
- 北原白秋 (きたはら はくしゅう) K 1885–1942。福岡県柳川 (やながわ) 出身の詩人・童謡作家。本名 北原 隆吉 (りゅうきち)。「ペチカ」「待ちぼうけ」「この道」など、多くの童謡を残した。三木露風と共に「白露時代」と呼ばれた。
- からたち (枳殻、唐橘) K ミカン科のとげの多い低木。中国から伝来した。春に白い花が咲き、秋に小さなみかんに似た実をつける。生垣 (いけがき) としてよく植えられた。とげが鋭いため、子どもは近づいて遊ぶと服を裂かれ、肌を刺されることが多かった。
- 棘 (とげ) K 植物の枝などに、針のように尖って生えているもの。からたちの棘は とくに 鋭い。
- 青い青い針 (あおい あおい はり) K からたちの 棘 を、北原白秋 は「青い 針」と 表現した。とげ が 緑色で、まだ 若くて、鋭い ことを、こう 言った。
- 「みんな みんな やさしかったよ」 K 北原白秋 が、少年時代に 経験した 痛み や 悲しさを 振り返って、「それでも、結局 は、みんな やさしかった」と 受け入れた 言葉。本詩の こころ の 核。
- 大正 (たいしょう) K 1912–1926 年。明治の 次の 元号。文化・芸術 が 大きく 花開いた 時代。
- 山田耕筰 (やまだ こうさく) K 1886–1965。日本 の 近代音楽 の 祖。「赤とんぼ」「待ちぼうけ」「この道」など、白秋 の 詩 に 多くの 曲 を 付けた。
考えてみよう
- 詩を、声に 出して 3 かい よんでみましょう。
- からたちの 花は どんな 色ですか?からたちの 棘 は どんな 色ですか?絵に かいて みましょう。
- 「みんな みんな やさしかったよ」── これは どんな 気持ちを 表す 言葉でしょうか。あなたの 周りの 人 (家族・先生・友達) を 思い 出して、似た 気持ち に なった こと は ありますか?
- 白秋 は、棘 (とげ) の そば で 泣いたことを 詩に 書いて います。あなたも、痛かった 時、誰か に 慰めて もらったことが ありますか?
指導案 教員向け・授業展開の例
小2 国語の 詩教材。北原白秋 の 代表的 童謡 を、原詩 で 読む。 「やさしさ」と「痛み」が 同じ 花 に 重なる 詩の 構造 を、子どもに も 感じさせたい。 山田耕筰 の 曲 で 歌う こと も できる。
指導目標
- 詩を 声に 出して 読める
- 「白い花」と「青い棘」の 対比 を 体感する
- 「みんな やさしかった」の こころ を 自分の 経験 と つなげる
授業の流れ
- 5分 「からたち」が どんな 植物 か、写真 で 確認
- 10分 詩を 全員で 3 かい 音読
- 10分 「やさしい 花」と「するどい 棘」の 絵 を かく
- 5分 自分の「やさしかった」記憶 を 共有
発問例・議論のポイント
- 白い花 と 青い針 (棘) は、同じ 木 に 咲いて います。これは どんな こと を 教えて くれるでしょうか?
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出典・ライセンス
- 原文: 北原白秋 (きたはら はくしゅう)「からたちの花」(1924年)
- 入力テキスト: 雑誌『赤い鳥』掲載 (大正13年・1924年6月号) (底本:北原白秋 作詞「からたちの花」(1924)。山田耕筰 作曲 (1925) で童謡となった。白秋・耕筰の代表的なコンビ作品の一つ。)
- 原文の権利: パブリックドメイン
- 編集・語注・発問・解説: CC BY 4.0 © project_procopios contributors