赤とんぼ の表紙イラスト

赤とんぼ

小学校 国語 第1学年 詩・歌B 読むこと 目安 10 分

作者
三木露風 (みき ろふう)(1889–1964)
原作発表
1921 年(大正10年 (1921))
出典
雑誌『樫の実』掲載 (大正10年・1921)
底本:三木露風 作詞「赤とんぼ」(1921)。後に山田耕筰 作曲 (1927) で童謡となり、日本人に最も親しまれた歌の一つ。

学習のめあて

  • 日本人にとって最も親しまれた童謡を、原詩で読む
  • 「夕焼小焼」「おわれて見た」など、古い言葉の意味を理解する
  • 自分の「いつの日か」(遠くなった子供時代) を思い出す体験をする

本文

赤とんぼ (三木露風)

夕焼ゆうや小焼こやけの
あかとんぼ
われてたのは
いつの

やまはたけ
くわ
小籠こかごにつんだは
まぼろしか

十五じゅうごねえやは
よめにゆき
御里おさとのたよりも
えはてた

夕焼ゆうや小焼こやけの
あかとんぼ
とまっているよ
竿さおさき

げんだいご に なおすと

ゆうやけ の 空 に、あかい とんぼが とんでいる。
わたしが 小さかった ころ、おばあちゃんに おんぶされて、ゆうやけ の 中で 赤とんぼを 見た。── あれは、いつの 日だったろう。

山の 畑 で、くわの 実を ちいさな かごに つんだ。
あの 時の こと は、いま 思い 出すと、まるで まぼろしのよう。

わたしを おんぶしてくれた ねえや (子守の おねえさん) は、十五歳 で よその家 に およめに 行って しまった。
それから は、その ねえや の 実家からの たより も、なくなって しまった。

そして いま、夕焼けの 空 を 見上げると ── 赤とんぼが、竿 (さお) の さき に、しずかに とまっている。

三木露風の こころ

三木露風 (みき ろふう、1889 ねん – 1964 ねん) は、ひょうご県 たつの市 で 生まれた 詩人 です。
小さい とき、おかあさん は 家を 出て いき、おばあちゃん と、子守の ねえや が、ろふう を そだてました。

大人 に なって、東京 で 詩人 と なった ろふう は、ある 日、ふるさと の 夕焼け を 思い出しました。
そして、ねえや の こと、おんぶ されて 見た 赤とんぼ の こと、桑の 実 の こと を、この 詩 に しました。

おわれて 見た のは、いつの 日 か」── これは、
「あの 日 は、もう、遠く に なって しまった」 という、ちょっと さみしい きもち と、
「でも、その 思い出 は、今 も こころ の なか に 残って いる」 という、あたたかい きもち の、
二つ が こめられた 言葉 です。

歌 に なって

この 詩 は、1921 ねん (大正 10 ねん) に、雑誌 『樫 (かし) の 実』 で 発表 されました。
それから 6 ねん 後 の 1927 ねん (昭和 2 ねん)、作曲家 の 山田 耕筰 (やまだ こうさく) が、この 詩 に きょく を つけました。
それから、「赤とんぼ」 は 日本中 で うたわれる、いちばん 親しまれた 童謡 の ひとつ に なりました。

2007 ねん (へいせい 19 ねん)、文化庁 が 行った 「日本 の うた 100 選」 で、「赤とんぼ」 は えらばれました。
百年 ちかく まえ に 書かれた この 詩 が、いま でも、わたしたち の こころ に、ふしぎ な なつかしさ を 運んで くれる の です。

語句の意味

各見出し語をクリックすると、外部辞書で詳しい意味を調べられます。 ※ Wiktionary について

  • 三木露風 (みき ろふう) K 1889–1964。兵庫県揖保郡(いまの たつの市)生まれの詩人。本名は三木 操(みさお)。北原白秋とともに「白露時代」と呼ばれた大正初期の詩壇を代表した。1921 年、雑誌『樫の実』に「赤とんぼ」を発表。
  • 夕焼小焼 (ゆうやけ こやけ) K 夕焼け空が、明るく赤く焼けたあと、だんだん色が淡くなって暮れていく様子。「小焼」は「夕焼け」のあとの、もう少し弱い光のこと。
  • おわれて (負われて) K 「おんぶされて」「背中に背負われて」の意味。子どもの頃に、おばあちゃんやお姉さんの背中におんぶされたこと。
  • ねえや K 子どもの世話をする若い女の子(子守娘・こもりむすめ)。明治・大正時代、家が貧しい地方では、十代の女の子が他家に子守として奉公に行くことがあった。三木露風の家にも、ねえやがいて、彼を背中におんぶしてくれた。
  • 嫁にいって (とついで) K 結婚して、他の家へ行くこと。
  • 竿 (さお) K 細長い棒。「竿の先」とは、とんぼを捕まえるために、棒の先につけたもち(粘着剤)のこと。
  • 大正 (たいしょう) K 日本の元号の一つ (1912–1926)。明治の次。短い時代だが、文化・芸術が大きく花開いた。「赤とんぼ」もこの時代の作品。

考えてみよう

  1. 詩を、声に出して 3 かい よんでみましょう。
  2. 「夕焼小焼の赤とんぼ」── あなたの まちの 夕焼けは、どんな いろ ですか?
  3. 「ねえやは 十五で 嫁にいって、おさとの たより も たえはてた」── これは どんな ことを 言って いるでしょうか。あなたの 家族や、なくなった おじいちゃん・おばあちゃん の ことを 思い出して みましょう。
  4. あなたが いちばん 思い出に のこっている 夕焼け は、いつの どんな 夕焼けですか?
指導案 教員向け・授業展開の例

小1 国語の詩教材。日本人にもっとも親しまれている童謡の原詩を、ゆっくり 読む。 「夕焼小焼」「おわれて」など、子どもには 少しむずかしい 言葉も、絵や 体験を 通して 体感的に 理解させたい。 山田耕筰 の曲を 聴いて 歌う ことで、詩と 音楽の 結びつきも 味わえる。

授業時数
30分

指導目標

  • 詩を 声に出して 読める
  • 「夕焼け」「おんぶ」「ねえや」などの 言葉の イメージを ふくらませる
  • 自分自身の 思い出と つなげて 読める

授業の流れ

  1. 5分 「赤とんぼ」の 歌を みんなで 歌う
  2. 10分 詩を 声に出して 3 かい 読む
  3. 10分 わからない 言葉 (ねえや・おわれて) を みんなで 考える
  4. 5分 自分の 「いつの日か」を 絵に かいて みる

発問例・議論のポイント

  • あなたの 家には、おんぶしてくれた人 が いますか?
  • 「夕焼け」を 見ると、どんな気持ちに なりますか?

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出典・ライセンス

  • 原文: 三木露風 (みき ろふう)「赤とんぼ」(1921年)
  • 入力テキスト: 雑誌『樫の実』掲載 (大正10年・1921) (底本:三木露風 作詞「赤とんぼ」(1921)。後に山田耕筰 作曲 (1927) で童謡となり、日本人に最も親しまれた歌の一つ。)
  • 原文の権利: パブリックドメイン
  • 編集・語注・発問・解説: CC BY 4.0 © project_procopios contributors