赤とんぼ
小学校 国語 第1学年 詩・歌B 読むこと 目安 10 分
学習のめあて
- 日本人にとって最も親しまれた童謡を、原詩で読む
- 「夕焼小焼」「おわれて見た」など、古い言葉の意味を理解する
- 自分の「いつの日か」(遠くなった子供時代) を思い出す体験をする
本文
赤とんぼ (三木露風)
夕焼け小焼けの
赤とんぼ
負われて見たのは
いつの日か山の畑の
桑の実を
小籠につんだは
まぼろしか十五で姐やは
嫁にゆき
御里のたよりも
絶えはてた夕焼け小焼けの
赤とんぼ
とまっているよ
竿の先
げんだいご に なおすと
ゆうやけ の 空 に、あかい とんぼが とんでいる。
わたしが 小さかった ころ、おばあちゃんに おんぶされて、ゆうやけ の 中で 赤とんぼを 見た。── あれは、いつの 日だったろう。
山の 畑 で、くわの 実を ちいさな かごに つんだ。
あの 時の こと は、いま 思い 出すと、まるで まぼろしのよう。
わたしを おんぶしてくれた ねえや (子守の おねえさん) は、十五歳 で よその家 に およめに 行って しまった。
それから は、その ねえや の 実家からの たより も、なくなって しまった。
そして いま、夕焼けの 空 を 見上げると ── 赤とんぼが、竿 (さお) の さき に、しずかに とまっている。
三木露風の こころ
三木露風 (みき ろふう、1889 ねん – 1964 ねん) は、ひょうご県 たつの市 で 生まれた 詩人 です。
小さい とき、おかあさん は 家を 出て いき、おばあちゃん と、子守の ねえや が、ろふう を そだてました。
大人 に なって、東京 で 詩人 と なった ろふう は、ある 日、ふるさと の 夕焼け を 思い出しました。
そして、ねえや の こと、おんぶ されて 見た 赤とんぼ の こと、桑の 実 の こと を、この 詩 に しました。
「おわれて 見た のは、いつの 日 か」── これは、
「あの 日 は、もう、遠く に なって しまった」 という、ちょっと さみしい きもち と、
「でも、その 思い出 は、今 も こころ の なか に 残って いる」 という、あたたかい きもち の、
二つ が こめられた 言葉 です。
歌 に なって
この 詩 は、1921 ねん (大正 10 ねん) に、雑誌 『樫 (かし) の 実』 で 発表 されました。
それから 6 ねん 後 の 1927 ねん (昭和 2 ねん)、作曲家 の 山田 耕筰 (やまだ こうさく) が、この 詩 に きょく を つけました。
それから、「赤とんぼ」 は 日本中 で うたわれる、いちばん 親しまれた 童謡 の ひとつ に なりました。
2007 ねん (へいせい 19 ねん)、文化庁 が 行った 「日本 の うた 100 選」 で、「赤とんぼ」 は えらばれました。
百年 ちかく まえ に 書かれた この 詩 が、いま でも、わたしたち の こころ に、ふしぎ な なつかしさ を 運んで くれる の です。
語句の意味
各見出し語をクリックすると、外部辞書で詳しい意味を調べられます。 ※ Wiktionary について
- 三木露風 (みき ろふう) K 1889–1964。兵庫県揖保郡(いまの たつの市)生まれの詩人。本名は三木 操(みさお)。北原白秋とともに「白露時代」と呼ばれた大正初期の詩壇を代表した。1921 年、雑誌『樫の実』に「赤とんぼ」を発表。
- 夕焼小焼 (ゆうやけ こやけ) K 夕焼け空が、明るく赤く焼けたあと、だんだん色が淡くなって暮れていく様子。「小焼」は「夕焼け」のあとの、もう少し弱い光のこと。
- おわれて (負われて) K 「おんぶされて」「背中に背負われて」の意味。子どもの頃に、おばあちゃんやお姉さんの背中におんぶされたこと。
- ねえや K 子どもの世話をする若い女の子(子守娘・こもりむすめ)。明治・大正時代、家が貧しい地方では、十代の女の子が他家に子守として奉公に行くことがあった。三木露風の家にも、ねえやがいて、彼を背中におんぶしてくれた。
- 嫁にいって (とついで) K 結婚して、他の家へ行くこと。
- 竿 (さお) K 細長い棒。「竿の先」とは、とんぼを捕まえるために、棒の先につけたもち(粘着剤)のこと。
- 大正 (たいしょう) K 日本の元号の一つ (1912–1926)。明治の次。短い時代だが、文化・芸術が大きく花開いた。「赤とんぼ」もこの時代の作品。
考えてみよう
- 詩を、声に出して 3 かい よんでみましょう。
- 「夕焼小焼の赤とんぼ」── あなたの まちの 夕焼けは、どんな いろ ですか?
- 「ねえやは 十五で 嫁にいって、おさとの たより も たえはてた」── これは どんな ことを 言って いるでしょうか。あなたの 家族や、なくなった おじいちゃん・おばあちゃん の ことを 思い出して みましょう。
- あなたが いちばん 思い出に のこっている 夕焼け は、いつの どんな 夕焼けですか?
指導案 教員向け・授業展開の例
小1 国語の詩教材。日本人にもっとも親しまれている童謡の原詩を、ゆっくり 読む。 「夕焼小焼」「おわれて」など、子どもには 少しむずかしい 言葉も、絵や 体験を 通して 体感的に 理解させたい。 山田耕筰 の曲を 聴いて 歌う ことで、詩と 音楽の 結びつきも 味わえる。
指導目標
- 詩を 声に出して 読める
- 「夕焼け」「おんぶ」「ねえや」などの 言葉の イメージを ふくらませる
- 自分自身の 思い出と つなげて 読める
授業の流れ
- 5分 「赤とんぼ」の 歌を みんなで 歌う
- 10分 詩を 声に出して 3 かい 読む
- 10分 わからない 言葉 (ねえや・おわれて) を みんなで 考える
- 5分 自分の 「いつの日か」を 絵に かいて みる
発問例・議論のポイント
- あなたの 家には、おんぶしてくれた人 が いますか?
- 「夕焼け」を 見ると、どんな気持ちに なりますか?
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出典・ライセンス
- 原文: 三木露風 (みき ろふう)「赤とんぼ」(1921年)
- 入力テキスト: 雑誌『樫の実』掲載 (大正10年・1921) (底本:三木露風 作詞「赤とんぼ」(1921)。後に山田耕筰 作曲 (1927) で童謡となり、日本人に最も親しまれた歌の一つ。)
- 原文の権利: パブリックドメイン
- 編集・語注・発問・解説: CC BY 4.0 © project_procopios contributors