わたしと小鳥と鈴と (金子みすゞ)
わたしが両手を ひろげても、
お空はちっとも 飛べないが、
飛べる小鳥は わたしのやうに、
地面を速くは 走れない。わたしが からだを ゆすつても、
きれいな音は 出ないけど、
あの鳴る鈴は わたしのやうに、
たくさんな唄は 知らないよ。鈴と、小鳥と、それから わたし、
みんなちがつて、みんないい。
げんだいごやく
わたしが 両手 (りょうて) を ひろげても、お空 (おそら) は ちっとも 飛 (と) べない。 けれど、空を 飛べる 小鳥 (ことり) は、わたしの ように、地面 (じめん) を 速く 走 (はし) ることは できない。
わたしが からだを ゆすっても、きれいな 音 (おと) は 出 (で) ない。 けれど、きれいな 音を 出 (だ) せる 鈴 (すず) は、わたしの ように、たくさん の うた を 知 (し) らない。
鈴 (すず) と、小鳥 (ことり) と、そして わたし ―― みんな ちがって、みんな いい。
金子みすゞ (かねこ みすず) という 詩人
金子みすゞ さん (1903–1930) は、山口県 (やまぐちけん) の 仙崎 (せんざき) という、海 ぞいの 町で 生まれた 詩人 です。
20 だい で たくさんの 詩を かきましたが、26 さい の とき に、なくなって しまいました。
みすゞ さん の 詩は、「ちいさい もの」「よわい もの」「こえ の しない もの」 を よく うたいます。 小鳥 (ことり) や、鈴 (すず) や、こだま (やまの こえ) や、土 (つち) の したで くらす ありさん。
この 詩の 一ばん さいご、「みんなちがって、みんないい」 ―― この ことば は、いまの にっぽん で、多くの人が 知って いる 名 (なまえ) ことば です。
じぶん と ともだち が ちがって いて も、それは ぜんぶ よい こと。
そう おしえて くれる、たいせつな 詩 です。