指導案:大日本帝国憲法・第一章「天皇」抜粋
| 学校段階・教科 | 高等学校 日本史 第1学年 |
|---|---|
| 所要時間 | 2 単位時間(原文読解 1 時限+日本国憲法との対比・歴史的検証 1 時限) |
| 本文の目安時間 | 約 35 分 |
| 学習指導要領 |
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| 準備物 |
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単元概要
大日本帝国憲法(1889年)第一章「天皇」は、明治国家の根本構造を示す最重要文書。日本国憲法(1947年)との対比を通じて、戦前と戦後の連続と断絶を立体的に学ぶことができる。本教材は、(1)原文に向き合う読解、(2)プロイセン憲法をモデルとした起草の歴史的経緯、(3)「神聖不可侵」「統治権の総攬」「統帥権」という三つの規定が後の軍国主義へどう接続したかの分析、(4)日本国憲法第1条との対比、を順に扱う。高校日本史・歴史総合の中核となる史料教材。
本時の目標
- 大日本帝国憲法第一章の原文を、当時の表記のまま読み、その思想構造を理解する
- プロイセン憲法をモデルとした明治憲法の起草経緯を学ぶ
- 「主権者は誰か」という根本的な問いについて、明治憲法と日本国憲法の答えの違いを把握する
- 「神聖不可侵」「統治権の総攬」「統帥権」という三つの規定の含意を理解する
- 戦前から戦後への連続と断絶を、憲法という観点から立体的に捉える
授業の流れ
| 時間 | 活動 |
|---|---|
| 1時間目(原文読解) | 大日本帝国憲法第一章を音読する。第1条「万世一系」、第3条「神聖不可侵」、第4条「統治権の総攬」、第5条「立法権」、第11条「統帥権」を中心に、それぞれの意味を語注を頼りに読み取る。プロイセン憲法をモデルとした起草の経緯(伊藤博文のヨーロッパ視察、井上毅の起草)を歴史的背景として共有。 |
| 2時間目(日本国憲法との対比・歴史的検証) | 日本国憲法第一章と並べて読み、(1)主権の所在、(2)天皇の地位、(3)立法権の所在、(4)軍の統制、それぞれの違いを表で整理。明治憲法体制が「統帥権の独立」を通じて、なぜ昭和初期の軍国主義の暴走を許したか、歴史的経緯(1930年統帥権干犯問題→1932年五・一五事件→1936年二・二六事件→1937年日中戦争)を辿る。1945年敗戦と1947年日本国憲法施行による、憲法体制の根本的転換を確認。 |
発問・話し合いの軸
- 「大日本帝国ハ万世一系ノ天皇之ヲ統治ス」という第1条と、「天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴」という日本国憲法第1条。この対比は、戦前と戦後の日本のどんな変化を象徴しているでしょうか。
- 第3条「天皇ハ神聖ニシテ侵スヘカラス」は、天皇を法的批判の対象外に置く規定です。これと、戦前の<a href="/library/chugakukomin3/kyoiku-chokugo">教育勅語</a>の「天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」という規定との関係を考えましょう。憲法と教育勅語が、どのように連動して天皇制を支えたか。
- 明治憲法はプロイセン憲法をモデルとしました。当時の伊藤博文らは、なぜイギリス(議院内閣制が確立)やアメリカ(共和制)ではなく、ドイツ(プロイセン)をモデルに選んだのでしょう。19世紀末の国際情勢から考察しましょう。
- 「統帥権の独立」が制度的に保証されていたために、軍部は内閣や議会の統制を拒むことができました。「シビリアン・コントロール(文民統制)」の確立は、日本国憲法第66条(内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない)まで待つことになります。憲法のなかの軍隊の位置づけを考察しましょう。
- 1889年憲法(明治)→ 1947年憲法(昭和)の流れを、「同じ国家の連続した憲法体制」と見るか「断絶した別の体制」と見るかは、戦後の歴史学・政治学で大きな論点でした。両方の見方を、自分の言葉で説明してみましょう。
発展課題
- 大日本帝国憲法の全76条を読み、第一章以外(人権・議会・内閣・司法)にも目を通す。
- 伊藤博文『憲法義解』(1889年)を読み、当時の起草者自身の解釈を学ぶ。
- プロイセン憲法(1850年)と大日本帝国憲法の対応関係を、条文レベルで比較する。
- 1930年の統帥権干犯問題(ロンドン海軍軍縮条約)について調べ、明治憲法の運用がどう変質していったかを学ぶ。
- 1945年から1947年の日本国憲法制定過程(GHQ草案、帝国議会での審議など)を学び、憲法体制の根本的転換を体験する。
教師控メモ
生徒の反応・気づき
時間配分の振り返り
次回への改善点