指導案:富嶽百景(抜粋)
| 学校段階・教科 | 高等学校 国語 第2学年 |
|---|---|
| 所要時間 | 5〜6 単位時間 |
| 本文の目安時間 | 約 35 分 |
| 学習指導要領 |
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単元概要
高校2年の現代文教材として、随筆と小説の境界・私小説性・近代日本の自然観など多角的に扱える名品。冒頭の「富士の山頂は、思ひのほか、低い」と末尾の「ありがたう」までの構造を一望させたい。「月見草」の一節だけが有名になりすぎている弊害もあるので、全体の中での位置づけを丁寧に。
本時の目標
- 「富士には、月見草がよく似合ふ」の一節が、本作のどの位置に置かれ、どんな文脈で発せられたかを精確に押さえる
- 太宰の文章のリズム——短い断定文と長い心理描写の交互——を声に出して味わう
- 私小説と随筆と虚構の境界について議論する
授業の流れ
| 時間 | 活動 |
|---|---|
| 1時間目 | 作家の伝記(昭和13年御坂峠滞在 → 14年結婚)を確認。冒頭〜井伏鱒二の到着あたりまでを音読。 |
| 2時間目 | 月見草の場面を精読。なぜ「老婆」が登場するのか、なぜ「老婆は、なんにも、ちつとも、見えてゐないのだ」と書いたのかを議論。 |
| 3時間目 | 後半(修学旅行の生徒たちの場面)の太宰の視線について議論。 |
| 4時間目 | 結末の「ありがたう」の宛先を考える。富士に? 御坂峠の人々に? 自分自身に? |
| 5時間目 | 私小説論。太宰の他作品(『走れメロス』『斜陽』)と比較して、「太宰治」というペルソナを論じる。 |
発問・話し合いの軸
- なぜ太宰は「富士には、月見草がよく似合ふ」と書いたのか。月見草でなければならなかった理由はあるか。
- 「あんな顔をしてゐる」と富士山を批評する太宰の口調には、どこか自分自身を笑う響きがある。これはなぜか。
- 『富嶽百景』というタイトルは、葛飾北斎『冨嶽三十六景』を意識している。北斎との接続は本作にどう機能しているか。
発展課題
- 御坂峠の現地写真や、北斎の冨嶽三十六景の絵を見て、視覚的に富士の「百景」を体験する。
- 太宰自身の他の随筆(『東京八景』『十五年間』など)と読み比べる。
- 「○○には、○○がよく似合ふ」を自分でも一文書き、なぜその取り合わせなのかを300字で論じる。
教師控メモ
生徒の反応・気づき
時間配分の振り返り
次回への改善点