指導案:古事記「神武東征」— 日向から大和へ
| 学校段階・教科 | 中学校 歴史 第1学年 |
|---|---|
| 所要時間 | 2 単位時間(物語と地理 1 時限+皇紀問題と現代との対話 1 時限) |
| 本文の目安時間 | 約 30 分 |
| 学習指導要領 |
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| 準備物 |
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単元概要
古事記中巻の冒頭。「天孫降臨」(神話)の三代後、ニニギノミコトの曾孫イワレヒコが日向(宮崎)から東進し、橿原(奈良)で即位する物語。「神話」から「伝説」「半歴史」への移行点であり、戦前は「皇紀の起点」「日本国の建国神話」として最重要視された段。本教材は、(1)物語としての面白さ、(2)神話と歴史の区別、(3)戦前の皇紀紀年法および紀元節の問題、を順に扱う、史料批判教育の中核となる教材。古事記神話五部作(天の岩戸〜天孫降臨)の続編、神話から「天皇の物語」への橋。
本時の目標
- 神武東征の物語を、原文と現代語訳の両方で読む
- 日向 → 宇沙 → 安芸 → 吉備 → 浪速 → 熊野 → 大和 のルートを地図でたどる
- 戦前の皇紀紀年法(1940年皇紀2600年)と現代の歴史学の見方を対比する
- 神話・伝説・歴史の区別を理解する
- 2月11日「建国記念の日」の歴史的経緯を学ぶ
授業の流れ
| 時間 | 活動 |
|---|---|
| 1時間目(物語と地理) | 古事記五部作の流れを復習し、本段が神話から「天皇の時代」への橋であることを確認。本教材を音読し、ルートを大きな地図に書き込みながら追う(日向→宇沙→安芸→吉備→浪速→熊野→大和)。八咫烏・久米歌などの細部にも触れる。 |
| 2時間目(皇紀と現代) | 1940年「皇紀2600年」の写真資料を見て、神話年代が国家の祝典に直結していたことを実感。1948年の祝日法で「紀元節」が廃止された経緯を確認。1966年に「建国記念の日」として復活した政治的背景を共有。「神話を国家の起源にする」ことの妥当性を討論。卑弥呼(3世紀の魏志倭人伝に登場する実在性の高い人物)と神武天皇(紀元前660年と算定された神話上の人物)の年代の隔たりも確認。 |
発問・話し合いの軸
- 神武天皇が即位したとされる紀元前660年は、考古学的には縄文時代の終わり頃にあたります。実在の天皇制が確立するのは早くても5〜6世紀(雄略天皇・継体天皇あたり)と考えられます。「神話の年代」と「考古学の年代」の隔たりを、どう理解すればよいでしょうか。
- 1940年(昭和15年)の「皇紀2600年」は、国を挙げての記念行事として行われ、運動会や歌、紀念切手・紀念硬貨も発行されました。これが翌1941年の太平洋戦争開戦の前年にあたることを、どう考えればよいでしょうか。
- 2月11日「建国記念の日」をめぐっては、1966年の制定以来、賛否両論があります。「神話を国家の起源にしてよいか」「皇紀の復活ではないか」という批判と、「日本の建国を祝う日があってもよい」という賛成意見。あなたの考えを述べましょう。
- 八咫烏(三本足のカラス)は、現代でも日本サッカー協会のシンボルマークとして使われています。「神話のシンボル」が現代社会で生き続ける例として、他にどんなものがあるでしょうか。
- 古事記が「神武東征」を物語の重要な節目に置いた理由は何でしょう。物語を編纂した奈良時代の人々(編纂は712年完成)が、自らの天皇制をどう正統化したかったのかを考えてみましょう。
発展課題
- 古事記中巻のヤマトタケル東征伝説と本段を比較し、「神話」「伝説」の連続性を捉える。
- 魏志倭人伝(3世紀後半に書かれた、卑弥呼の女王国の記録)を読み、文献史学の手法を学ぶ。
- 橿原神宮(奈良県橿原市)の歴史を調べ、明治23年(1890年)の創建の政治的背景を探る。
- 1940年「皇紀2600年」関連の写真・歌・記念碑などを資料として集めてみる。
- 諸外国の「建国記念日」(例えばアメリカ7月4日、フランス7月14日)と比較し、それぞれが何を記念しているかを調べる。
教師控メモ
生徒の反応・気づき
時間配分の振り返り
次回への改善点